自分で借金を減らせる!知っておきたい特定調停の方法

「借金が沢山あるので、返済で生活が苦しくなっている」

「返済中心の生活で、先が見えず、働く意欲が出ない」

このように借り入れが増えてしまって、どのように返済していけば良いかわからないというお悩みをよく聞きます。

このまま返済を続けていると、元本が減らずに利息ばかり返すことになり、みなさんが損をすることになってしまいます。

あまりに借金が多い場合は、利息がカットできたり、元本が減らせられる、債務整理をしたほうが、将来的に得になるといえます。

債務整理の中でも、今回は「特定調停」について解説していきます。

特定調停をおこなうことで、返済条件を楽にして、生活を立て直して、返済しやすくなるように支援を受けられます。

特定調停は、家や車を取られずにおこなえますし、自分でもおこなえるので費用があまりかかりません。

また、借金の理由にかかわらず、おこなえるというメリットもあります。

この記事では、くわしい特定調停のメリット・デメリットや自分でおこなう場合に必要な書類なども説明していきます。

特定調停とは

特定調停というのは、借金の返済が難しくなった場合に、裁判所がお金を借りた人と貸した人の間に入って仲裁する制度のことです。

返済条件を軽くし、お金を借りた人が生活を立て直して返済しやすくなるように支援してくれます。

借金の利息を軽くし、減額された借金を分割返済していくのが基本です。

この点は任意整理という手続きとほぼ同じですが、違う点もあります。

任意整理は、遅延損害金や利息の支払いが免除されることもありますが、特定調停では難しいでしょう。

特定調停で減らすことができる借金の金額

借金を軽くできる方法というイメージのある特定調停ですが、必ず借金を減額してもらえるわけではありません。

減額できる範囲は、過払い金が発生していた場合のみなので、注意しましょう。

法律に違反した利息を請求していた貸金業者に対して交渉し、借金をした最初の時点までさかのぼって正しい利息を計算しなおします。

法律では金利は15%~20%の範囲内にすると決まっているため、たとえばずっと25%分の利息を払っていたなら、上限金利をこえた5%分は取り戻せることになります。

それを元本と相殺して、借金を減らしていこうというわけです。

残った借金は計画的に分割返済し、完済を目指します。

特定調停で減らせる借金の金額は、利息をどれだけ払い過ぎていたかによる部分が大きいのです。

特定調停ができる条件

借金があれば誰でも自由に特定調停が行えるというわけではなく、一定の条件を満たす必要があります。

それは、「調停後の借金を3年ほどで返済できる」、「継続して収入を得る見込みがある」という条件です。

これらは金銭的条件と呼ばれており、どちらもクリアしてはじめて特定調停が認められます。

特定調停は借金をすべて免除してもらえる手続きではないので、残った借金は、必ず返済しなければなりません。

このため、調停後にスムーズに借金を返済するために必要なお金がないと、特定調停は認めてもらえないのです。

具体的にどれくらいお金があればよいのかは、それぞれのケースごとに異なるので簡単には言えません。

目安としては、残った借金を3~5年程度で、すべて返済できるだけの経済状況にあることが求められます。

もちろん必ず3年で完済すると決まっているわけではなく、完済までの期間が短ければ短いほど、お金を貸した人が特定調停に応じてくれる可能性は高くなります。

3年で借金を完済するためにも、毎月継続して収入を得られる状況にあるかも重視されます。

それぞれのケースにもよりますが、特定調停後は毎月数万円ずつ返済していくことが多いです。

安定した収入がない場合、この返済がとどこおる可能性があると判断されるので、特定調停はおこなえません。

特定調停の手続きをしても税金などは支払う義務がある

「特定調停をおこなえば、借金だけではなく税金も軽くしてもらえるのでは?」と思う人がいるかもしれません。

残念ながら、これはまったくの勘違いです。

借金はあくまでも借金であり、自分の意思で利用したものです。

しかし、税金や国民健康保険料、社会保険料などの支払い義務があるお金については、特定調停とは関係ありません。

軽くしたり免除してもらったりすることはできないので、支払いがむずかしい場合は役所などへ行って分割払いの相談をしてみましょう。

特定調停のデメリット 手続き後にできなくなること

一見便利に見える特定調停ですが、いくつかデメリットもあるので注意が必要です。

実行する前にデメリットを正しく理解しておかないと、思わぬトラブルが起きたり後悔したりする可能性もあります。

どんなデメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

クレジットカードの利用ができない

クレジットカードは、利用者の信用にもとづいて審査がおりるものです。

ところが、特定調停を行うと、信用情報機関に事故情報が登録されてしまって、いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうことがあります。

信用情報機関には、ローンやクレジットカードなどを利用した記録がすべて書かれています。

申込日や利用額、滞納や金融事故の有無など、ありとあらゆる情報が残されているのです。

そして、カード会社やローン会社が、信用情報機関に加盟しています。

ここに特定調停の事実が記録されると、加盟しているカード会社やローン会社に情報が共有されて、クレジットカードが使えなくなることがあります。

新しい借金やクレジットカード作成やローンの審査にも通らなくなるため、十分に注意しておきましょう。

手間と時間がかかる

特定調停は、基本的には自分で手続きをするものです。

専門家に依頼すると、費用がかかるので自分でする人が多いです。

ただ、自分でやるとなるとさまざまな書類を用意したり、裁判所とのやりとりをしたりしなければなりません。

平日に裁判所に行くこともあり、手間と時間がかなりかかってしまいます。

仕事を休めなかったり、病気やケガで自由に動けなかったりする人は、手続きの負担も大きくなるでしょう。

手間をかけたくない場合は、司法書士などに依頼することによって、手続きを任せることができます。

督促がストップするまでに時間がかかる

任意整理の場合、司法書士などの専門家に手続きをお願いするのが一般的です。

司法書士から貸金業者に、「任意整理に入りました」という宣言がすぐさま出され、それ以降の借金の督促をストップさせることができます。

一方、特定調停だと基本的には自分で手続きをおこなうため、専門家からその宣言を出してもらうことができません。

手続きが進んで督促がストップするまで時間がかかるので、その間精神的なプレッシャーも続いてしまいます。

調停不成立の場合もある

特定調停は、法律で守られている制度ではありません。

お金を借りた側が裁判所に申し立てたとしても、お金を貸した側が必ず応じなければならないわけではないのです。

特定調停で裁判所がしてくれるのは、あくまでも両者の仲裁だけです。

裁判所だからといって、「借金を軽くしてあげなさい」と命令することはありません。

特定調停に応じるかを決めるのはお金を貸した側なので、調停が不成立に終わることも十分に考えられます。

強制執行される危険性がある

無事に特定調停が成立したら、残った借金は必ず返済しなければなりません。

お金を貸した側は、返済を条件に特定調停に応じており、特定調停が成立したことを証明する「調停調書」という法的効力を持つ書類を、裁判所から渡されています。

もし調停の成立後に支払いを滞納してしまうようなことがあれば、この調停調書にもとづいてすぐに強制執行がおこなわれてしまいます。

財産をすべて差し押さえられてしまうこともあるため、くれぐれも強制執行には注意が必要です。

借金がバレる可能性が高い

借金をしている人の中には、それをご近所や家族に知られたくないと思っている人もいるでしょう。

ところが、特定調停が始まると、裁判所から自宅へさまざまな通知が送られてきます。

万が一、ご近所さんや家族にそれを見られれば、借金をしていることや返済ができずに特定調停をしていることがバレてしまいます。

もちろん通知を見られる前に回収できれば良いのですが、うまくいくとは限りません。

絶対に知られたくないなら、特定調停ではなく任意整理にしたほうが良いでしょう。

任意整理なら司法書士や弁護士などが代理人となって手続きを行うため、自宅に通知が届く心配もほとんどありません。

誰にも知られずに手続きを終えることも十分にできるので、検討してみましょう。

特定調停では、過払い金請求ができない

テレビなどで、「過払い金請求」という言葉を聞いたことはありませんか。

これは、法律の上限をこえて利息を取っていた貸金業者から、払い過ぎていた利息を取り戻せるという手続きのことです。

すでに借金を完済していても返済中でも手続き自体はおこなえるのですが、特定調停に入ると同時に過払い金請求をすることはできません。

過払い金があるなら、特定調停後に別途請求手続きをおこなう必要があり、二度手間になってしまいます。

ちなみに、任意整理の場合は、過払い金があることがわかれば、その時点で過払い金請求をすることができます。

そのため時間や手間を無駄にすることはありません。

債務整理の専門家ではない調停委員が行う

通常、借金を減らすための手続きは、司法書士や弁護士といった債務整理の専門家がおこないます。

彼らは債務整理の方法に詳しいだけでなく、どう交渉すればお金を貸した側が納得するか、利息は払いすぎていないかといった借金減額のノウハウも持っています。

このため、お金を借りた側に有利な内容で債務整理できる可能性が高いのです。

ところが、特定調停の場合はこういった専門家が間に入ってくれません。

裁判所の調停委員が仲裁してはくれますが、債務整理に特別詳しい知識を持っているとは限らないのです。

このため払い過ぎた利息の引き直し計算をしたとしても、調停後に高い利息を支払い続けたりするなど、お金を借りた側にとって不利な内容で調停が成立する危険性もあります。

強制力がない

特定調停は裁判所に申し立てておこなうものですが、法的な強制力は持っていません。

特定調停が成立したときに作成される「調停調書」は、お互いに調停の内容をきちんと守るよう強い法的効力をもっていますが、調停そのものには強制力がないのです。

お金を貸した側と借りた側の合意によって借金を減額するという手続きであり、合意を強制することはできません。

つまり、特定調停を申し立てたからといって、すべて解決できるとは限らないのです。

特定調停を利用するメリット

借金を軽くできる特定調停ですが、メリットはそれだけではありません。

ほかにもさまざまなメリットがあるので、1つずつ確認していきましょう。

費用が安い

特定調停のメリットとしてまずあげられるのは、費用が安いということです。

裁判所を利用することから高い費用が必要なのでは、と考える人も多いでしょうが、実際はそんなことはありません。

弁護士などに依頼しなくても手続きがおこなえるので、わずかな手数料や切手代だけで済むケースがほとんどです。

1万円もかからずに済ませられるので、 安心してください。

対象とする貸金業者を選ぶことができる

複数の貸金業者から借金をしている場合、特定の借金だけ軽くしたいと思う人もいるでしょう。

このような場合は、特定調停が適しています。

なぜなら、特定調停は対象とする貸金業者を自由に選ぶことができるからです。

A社だけと特定調停して、B社はそのまま返済を続けることもできるのです。

任意整理だと、手続きの種類によっては特定の業者だけ選べないこともあります。

事情があって、業者ごとに調停するかどうか変えたいときには便利な方法です。

調停委員が間に入るため貸金業者と直接交渉が不要

特定調停は、裁判所の調停委員が貸金業者と直接交渉を進めてくれます。

やりとりは必ず調停委員を通しておこなわれるため、自分が直接貸金業者に減額をお願いしたり、手続きを進めたりする必要はありません。

もちろん、交渉の進め方を知らなくても問題なく調停をおこなうことができます。

貸金業者の担当者と2人だけで顔を合わせる機会もないので、心理的に負い目を感じたりプレッシャーをかけられたりする心配もしなくてすみます。

給与差押えなどの強制執行を止めることができる

借金の返済を滞納すると、場合によっては財産を差し押さえられることがあります。

貸金業者が裁判所に訴えて認められると、預貯金や不動産、給与などが差し押さえられて借金の返済に回されるのです。

これを強制執行と呼ぶのですが、特定調停を申し立てると、仮に滞納したとしても強制執行を止めることができます。

調停中は返済の義務も一時的にストップするため、滞納してもすぐに強制執行されずにすむのです。

ただし、調停が不成立に終わったり、成立した後に滞納したりすると強制執行される可能性はあるので注意しましょう。

自己破産と違い借金理由を問わない

借金を完全にゼロにする方法として、自己破産を考える人もいるのではないでしょうか。

たしかに自己破産は借金をすべて免除してもらえる便利な方法ですが、誰でも利用できるわけではありません。

たとえばギャンブルにのめり込んで借金した場合、自己破産は認められない場合があります。

自己破産が認められるには借金の「理由」が重視されるのです。

この点、特定調停なら借金の理由にかかわらず、おこなうことができます。

貸金業者が合意してくれさえすれば、問題なく借金を減らすことができます。

自己破産と違い官報にのらない

自己破産すると、官報にその事実が公表されてしまいます。

官報とは、政府が発行する新聞のようなもので、国に関わるさまざまな情報の広報誌としての役割を果たしています。

その中で自己破産した人の氏名や住所などが公表されるため、自分が自己破産したことを知られてしまうのです。

この点、特定調停であれば貸金業者との合意のうえで借金を減額するだけなので、官報にのってしまう心配もありません。

自己破産と違い職業や資格制限がない

自己破産を申し立てると、職業によっては一時的に仕事を続けられなくなることがあります。

たとえば弁護士や警備員、生命保険募集人など一定の仕事や資格につくことができません。

一生働けないというわけではなく、自己破産の手続きが終わってしまえば仕事に復帰することは可能です。

ほかにも多くの職業や資格に制限がありますが、特定調停はこのような仕事の制限は、いっさいありません。

調停を申し立てても、安心して仕事を続けることができます。

特定調停に必要な費用

特定調停を行う場合、手続きに必要な費用を用意しなければなりません。

といっても高い金額ではなく、申し立てる貸金業者が1社なら1000円ほどでおこなうことができます。

まず申し立て費用として、手数料が500円必要です。

これは調停する貸金業者1社につき500円なので、3社あれば1500円かかります。

これにプラス手続き費用として、貸金業者1社につき420円分の郵便切手がかかります。

これを合算し、1社あたり920円の費用で特定調停がおこなえることになります。

手続きの内容や裁判所によって費用が変わることもありますが、1万円以上かかることはほとんどありません。

特定調停の手続きの流れとスケジュール

  • STEP 01 特定調停の申立てをする

  • STEP 02 呼び出し日の通知書が送られてくる

  • STEP 03 裁判所に2回ほど出頭する

  • STEP 04 調停が成立

  • STEP 05 調停案通りに返済開始

簡易裁判所で申立書を受け取り、「特定調停手続きにより調停を行う」旨を申立書に記入します。

申立書提出の際には、家計簿など家計の収支と現在までの返済状況がわかるものなどの書類も必要です。

毎月の支払可能額や希望する猶予期間などについても記載しておくようにしましょう

その後、特定調停の申し立てを受けた裁判所は、まず調停委員を選びます。

1名の裁判官と2名の調停委員を指定し、調停委員会を構成します。

その後、申し立てから1週間から2週間ほどで申立人へ呼び出し日の通知書が送られてきます。

調停の日は申し立てから1カ月から2カ月後になることが多く、申立人は指定日に裁判所へ行かなければなりません。

1回目の調停では申立人と調停委員が面接を行い、収入や返済状況、今後の生活などさまざまな点について確認されます。

それから約1カ月ほどで2回目の調停が行われ、貸金業者の担当者も含めた3者で話し合います。

ただ、貸金業者側は欠席したり電話での話し合いになったりするケースが多いです。

交渉が無事に成立すると、合意した内容で調停調書が作られます。

ここまで、申し立てから約2カ月ほどかかるのが一般的です。

申し立てを行ったら、貸金業者に特定調停に入ることを連絡しておきましょう。

必須ではありませんが、調停が進むまでは返済する必要がなくなるので、連絡しておくと早めに取り立てを止めてもらえます。

仕事をしている場合は調停日に必ず裁判所へ行けるよう、仕事の日程を調整しておきましょう。

特定調停における必要書類など

特定調停を申し立てるには「特定調停申立書」、「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」、「権利関係者一覧表」、「資格証明書」などが必要です。

用紙は裁判所でもらえたり、ウェブサイトからダウンロードしたりすることもできます。

資格証明書については、個人が申し立てるなら不要なケースが多いです。

個人事業主が申し立てるときに必要になるので、法務局で取得するようにしましょう。

特定調停がローンに与える影響

住宅ローンや自動車ローンなど、ローンと名のつくものを利用するためには「審査」を受けなければなりません。

金融機関は審査によって、その人にお金を貸して大丈夫なのか、きちんと返済してくれるかを判断しているのです。

この審査で参考にされるのが、「信用情報」というものです。

信用情報には、ローンや借金などお金のやり取りに関するさまざまな情報が記録されています。

特定調停を行うと、この個人信用情報に大きな傷がついてしまうのです。

特定調停は「返済ができずに借金を減額してもらった」ということを意味するため、審査で大きなマイナスポイントになってしまいます。

ローンは、きちんと利息をつけて返済してもらって初めて利益が得られるものです。

肝心の返済ができそうにない人には、金融機関もローンを利用させてくれません。

ローンが利用できなくなってしまうので、注意が必要です。

特定調停の記録は約5年間ほど残り続けるので、この期間は新しいローンを組むのはむずかしいと考えておきましょう。

特定調停すると生活はどうなるのか?

個人信用情報に特定調停の記録が残ると、社会的な信用力が大きく下がってしまいます。

つまり、信用で成り立つサービスがほとんど使えなくなってしまうのです。

たとえば、住宅ローンや自動車ローンが組めなくなることをはじめ、新しいクレジットカードも作ることができません。

すでに持っているクレジットカードも使えなくなることがあり、非常に不便です。

新しい借金ももちろんむずかしいですし、学生であれば奨学金を借りることもできません。

携帯電話の分割購入もローンのひとつなので、現金一括払いでしか買えないようになります。

特定調停するべきタイミング

基本的にはいつでも自由に裁判所に申し立てることができますが、よりベストなのは「返済がむずかしくなりそう」というタイミングです。

実際に経済的に苦しくなってから申し立てても、調停後の返済ができなくなるリスクが高いです。

調停後に滞納すれば財産を差し押さえられる可能性もあるため、給与が減ったり支出が増えたり、返済に影響が出始めたタイミングで申し立てるほうが良いのです。

まだ少し経済的な余裕がある状態で借金を減らしたほうが、スムーズに返済を続けられる可能性が高まります。

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