家や車を失わずに借金を減額できる!個人再生のくわしい解説

「借金の額が多くて、返済が大変で困っている」

「借金の返済で、将来が見えない」

と相談に来る方が多くいらっしゃいます。

利息によって借金が雪だるま式に増えてしまった方は、返済が大変だと思います。

実は、その借金を債務整理することで減らすことができるのです。

債務整理で、借金を減額したり、支払いの期日を延ばすことによって、今より楽な生活を送ることができます。

その債務整理の中には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4つがありますが、今回は、個人再生について解説していきます。

個人再生をすることで大幅に減額された債務を3~5年の分割で支払い、残りの債務は免除してもらえるのです。

個人再生のメリット・デメリットから個人再生をする方法までくわしくお伝えしていきます。

個人再生とは

個人再生とは、債務整理の「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」という4つの方法の中の一つです。

任意整理と特定調停は、相手方との話し合いによって借金額を減らしたり、返済期間を延ばしたりする方法。

話し合いの結果、将来の利息分の支払いが免除、あるいは減額されることが多いです。

また、過去に多すぎる利息を支払っていた場合は、過払い金が元本の返済にあてられることもあります。

自己破産は、自宅や車などの資産を手放すかわりに借金すべてを帳消しにするという究極の方法です。

この中間にあるのが個人再生で、自己破産のように自宅を手放すことなく、任意整理や特定調停よりも借金を大幅に減らせるというメリットがあります。

任意整理や特定調停では、減らせる金額は利息の免除になりますが、減らせる金額が法律で決められているのが、個人再生です。

個人再生をおこなう条件や手続き方法、メリット・デメリットなど、詳しく説明していきましょう。

個人再生における2つの手続き

個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つの方法があります。

もともとは、小規模個人再生は個人事業者や中小の自営業者向け、給与所得者等再生はサラリーマン向けという位置付けですが、実際にはどちらを利用しても問題はありません。

権者の同意なしで手続きをおこなえるのが、給与所得者等再生です。

小規模個人再生のほうが減らせる金額が大きいので、小規模個人再生を利用することがほとんどです。

ただし、小規模個人再生には、お金を借りている相手方である債権者の同意が必要になります。

小規模個人再生とは

個人再生の基本形とも言えるのが小規模個人再生です。

自営業者や個人事業主だけでなく、サラリーマンも利用することができます。

小規模個人再生では、住宅ローン以外の借金で、最大5,000万円までを整理することが可能です。

ただし、借金の相手方に個人再生することを承諾してもらう必要があります。

減額後の金額や月々の返済金額などを記した「再生計画書」という書類を作成し、内容に同意してもらわなくてはならないのです。

複数から借金をしている場合、半数以上の同意を得るか、借金総額の半分以上を借りている相手からの同意を得る必要があります。

給与所得者等再生とは

サラリーマンなど、毎月の 安定した給与所得がある人を対象とした方法です。

債権者の同意を得ることなく借金減額の手続きを進められるというメリットがあります。

ただし、小規模個人再生ほどの減額はできません。

給与所得者等再生には「最低でも可処分所得(かしょぶんしょとく)の2年分に相当する借金は支払う」という決まりがあります。

可処分所得とは、収入から税金と社会保険料、そして最低限の生活費を引いて残った金額のことです。

給与所得の多い人や扶養家族がいない独身の人などは、この可処分所得が多くなります。

さらに2年分となると、まとまった金額になりますが、その金額分は必ず返済しなくてはならないのです。

個人再生する前に知っておくべきデメリットとメリット

個人再生には、3つのデメリットと9つのメリットがありますのでしっかりと理解しておきましょう。

個人再生のデメリット

個人再生の3つデメリット

  1. ブラックリストにのる
  2. 官報に載る
  3. 借金の連帯保証人に請求がいく

ブラックリストにのる

個人再生の手続きが始まると、信用情報機関に事故情報として登録されます。

いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるものです。

ブラックリストに登録されると、返済が完了しても数年間は情報が消されることはありません。

さらにその期間中は、新しくローンを組むことや借金をすることはむずかしくなります。

これは個人再生だけでなく、ほかの債務整理でも同じです。

債務整理のほかにも、ローンやクレジットの支払いが滞りがちな場合など、ブラックリストに登録されることが多いようです。

信用情報機関とは、信用情報を管理・提供する団体のことです。

銀行やクレジット会社、消費者金融など、ほとんどの金融機関が信用情報機関に登録して、信用情報を共有しています。

ローンを組むときやクレジットカードを作るとき、または銀行で口座を開くときには、名前や住所、勤務先などを用紙に記入して提出します。

また、身分証明書の提示を求められることもあるでしょう。

これらの個人情報や、借入・返済状況などの情報が「信用情報」と呼ばれるものです。

信用情報は信用情報機関に送られ、データとして蓄積されていきます。

もちろん「支払いが遅れている」「債務整理をおこなっている」といった情報も登録され、ブラックリストとして金融機関で共有されることになるのです。

官報に載る

官報とは、日本政府が発行する情報誌で、土・日・祝日を除き毎日発行される新聞のようなものです。

官報に掲載されているのは、法律や政令など「法令の交付」、地価公示や国家試験のお知らせなどの「広報」、そして各省庁や裁判所からの報告である「公告」です。

個人再生は、裁判所を通しておこなうため、公告として名前や住所などが掲載されることになります。

大きな図書館やインターネットを利用すれば、誰でも官報を見ることができます。

そのため「個人再生が職場や知人に知られてしまうのでは」と心配する声は少なくありません。

しかし、官報に載ったからといって、周囲に知られる可能性は限りなく低いものです。

まず、一般の新聞のように気軽に読める内容ではなく、あまり読まれることがありません。

ほぼ毎日発行されるうえに、情報量も大変なものです。

破産や個人再生などの債務整理関係で掲載されるだけでも、かなりの数になります。

よほど注意して探さないかぎりは見つけることはできないでしょう

借金の連帯保証人に請求がいく

連帯保証人には、借金をした本人と同じ責任を負う義務があります。

そのため、個人再生で減額された分は、連帯保証人に請求されてしまうのです。

個人再生で整理できる上限額は5,000万円で、その場合、10分の1に減額できると定められています。

5,000万円の借金を、個人再生手続きで、10分の1である500万円に減額したとします。

残りの4,500万円はどうなるのかというと、連帯保証人が支払うことになるのです。

金額が大きすぎて返済がむずかしい場合は、本人だけでなく連帯保証人も債務整理しなくてはなりません。

個人再生のメリット

いくつかのデメリットはあるものの、個人再生で債務整理をおこなった場合のメリットは大きいものです。

個人再生の9つデメリット

  1. 督促がストップ、さらに支払いの義務が一時的に止まる
  2. 債務整理することにより債務が大きく減額
  3. 持ち家をのこしたままで、他の借金を減額できる
  4. 借金理由を問われることがない
  5. 職業制限もなく資格制限もない
  6. 給料の差し押さえなど強制執行を停止できる
  7. 自己破産が回避できる
  8. 新たな借金をやめられる(借金できない)
  9. 家族の信用情報に与える影響はない

督促がストップ、さらに支払いの義務が一時的に止まる

個人再生などの債務整理は手続きがむずかしく、専門的な知識が必要です。

手続きをスムーズに進めるためには、司法書士や弁護士といった法律のプロに依頼するのがよいでしょう。

専門家が借金の当事者の間にはいった場合、金融庁のガイドラインにより、督促を止めることができます。

また、借金の総額を整理する必要があるため、一時的に支払い義務も止まります。

債務整理することにより債務が大きく減額

債務整理したあとに残る借金のことを「最低弁済額(さいていべんさいがく)」といいます。

この最低弁済額は「民事再生法」という法律によって決められていて、最大で借金額の10分の1まで減らすことができるのです(小規模個人再生の場合)。

また、返済の期間も決められていて、原則3年、最長でも5年かけて最低弁済額を返済していくことになります。

持ち家をのこしたままで、他の借金を減額できる

個人再生の最大の特徴は、自宅を手放さなくて済むというところです。

住宅ローンが残っている場合でも問題ありません。

個人再生には「住宅資金特別条項」という制度があり、住宅ローンは整理対象の借金とは別の扱いになります。

そのため、債務整理をおこなっても、自宅に住み続けることができるのです。

ただし、この制度を利用するには条件が必要です。

条件については、のちほどくわしく説明しましょう。

借金理由を問われることがない

個人再生は、借金の理由は関係なく利用できる債務整理方法です。

買い物などの浪費やギャンブル、株やFXなど投資の失敗でも問題ありません。

というのも、大幅に減額されたとしても返済義務そのものは残るからです。

借金の支払い義務を免除してもらうことを「免責」といいます。

自己破産では、資産を手放すかわりに免責がおこなわれますが、それには裁判所で免責許可をしてもらわなくてはなりません。

裁判所の決定は法律にもとづくものです。

破産法には免責を認められない理由が記載されています。

裁判所に申し立てるというところは自己破産も個人再生も同じですが、返済義務が残る個人再生では、免責許可を受ける必要がありません。

個人再生は、借金の原因を問われることがないのです。

職業制限もなく資格制限もない

自己破産の場合、手続き開始から免責許可が確定するまで、制限される職業があります。

弁護士や司法書士といった士業や卸売業者など、登録が必要な職業では破産手続きで登録が抹消されます。

手続き中は仕事をすることができず、免責許可確定後に改めて免許登録をしなくてはなりません。

警備員や生命保険外交員も、手続き中はその仕事をすることができなくなります。

また、手続き中には取得できない資格も数多くあります。

一方、個人再生では、このような職業制限や資格制限がありません。

手続き中であっても自由に仕事を選ぶことができるというメリットがあります。

給料の差し押さえなど強制執行を停止できる

借金の返済を滞納していると、給料の差し押さえを受けることがあります。

また、預貯金を取り上げえられるといったことも考えられます。

そうなっては生活することができません。

個人再生には、これらの強制執行を止める力があります。

個人再生を申し立て、さらに強制執行停止の申し立てをおこなうことで、給料の差し押さえなどを防ぐことができるのです。

自己破産が回避できる

自己破産は、すべての借金をなかったことにする究極の債務整理方法です。

しかし、家や車などお金に代えられる資産は、すべて手放さなくてはなりません。

手続き中の数カ月間は、仕事を制限されたり、郵便物をチェックされたりすることもあります。

手続き完了後も10年間はブラックリストに登録され、ローンを組んでの買い物はできません。

このように、自己破産には多くの制限があります。

個人再生を利用できる条件があるならば、自己破産ではなく個人再生を利用したほうがよいでしょう。

新たな借金をやめられる(借金できない)

個人再生をおこなうと、信用情報機関にブラックリスト登録されます。

この登録が消されるのは、借金を払い終えて5年ほど経ってからです。

減額された借金を3年かけて払い終えたとして、ブラックリストから名前が消えるのは、約8年後になります。

この期間はローンでの買い物や借金はできませんが、借金の返済のために別のところから借金をするといった悪循環から、抜け出すことができるのは大きなメリットです。

家族の信用情報に与える影響はない

信用情報機関にブラックリストとして登録されるのは、個人再生をおこなった本人のみです。

借金や返済状況などの信用情報は個人ごとに記録されています。

家族の誰かが新しくローンの申し込みをしたとして、チェックされるのはその家族本人の情報だけです。

ブラックリストに登録されることで、家族の信用情報にまで影響するといった心配はありません。

個人再生をおこなうには

個人再生の条件

個人再生はメリットの多い債務整理方法ですが、利用するにはいくつかの条件があります。

1つ目は「借金の総額」です。

個人再生によって減額が認められるのは、5,000万円までの借金です。

これには住宅ローンは含まれません。

5,000万円を超える借金を整理しようと考えたら、方法は自己破産のみになります。

2つ目に「安定した収入があり、完済の見込みがある」ことです。

個人再生では、借金の減額と同時に残りの借金をどのように払っていくかという再生計画を作る必要があります。

再生計画にしたがって、原則として3年、最長でも5年間で完済しなくてはなりません。

そのためには、安定・継続した収入が見込まれることが条件になります。

毎月の収入が安定しない個人事業主や、アルバイト・パートの人でも、状況によっては安定・継続した収入と認められ、個人再生をおこなうことができます。

3つ目は「前回の個人再生・自己破産から7年以上すぎている」ことです。

これは、個人再生の2つの方法のうち、給与所得者等再生に関わる制限です。

給与所得者等再生と小規模個人再生の大きな違いは、お金を貸した側である債権者の同意にあります。

給与所得者等再生の場合、小規模個人再生ほどの減額は見込めません。

しかし、債権者の同意がなくても手続きをおこなうことができます。

だからといって、たびたび給与所得者等再生を利用されては、お金を貸した側は損をするばかりです。

そのため、給与所得者等再生では7年という制限が設けられています。

個人再生しても持ち家を残したい

住宅資金特別条項という制度によって、債務整理をしても自宅に住み続けることができるのは個人再生の大きなメリットです。

住宅資金特別条項は「住宅ローン特則」とも呼ばれています。

自宅などの不動産を購入する場合は住宅ローンを組むのが一般的です。

住宅ローンを組むと、その不動産には抵当権が設定されます。

もしも返済できなくなった場合は、抵当権によって、不動産は金融機関に取り上げられるのです。

住宅ローン特則が認められる個人再生の場合、住宅ローンの支払いがむずかしいときには支払いを待ってもらうことができ ます。

裁判所が決定することで銀行が拒否することはできません。

すでに滞納が続いていて自宅が差し押さえられ、競売手続きが始まっている場合は、すみやかに競売手続き中止の申し立てをおこないましょう。

ただし、おくれている時期の遅延損害金や利息は免除にならず、その分本来よりおおく返済することになるので注意が必要です。

個人再生がローンに与える影響

支払い途中の住宅ローンがあっても自宅に住み続けることができるのは、すでに説明したとおりです。

ただ、条件によっては認められないこともあります。

住宅ローン特則が認められるためには「自分(債務者本人)名義であること」「住宅用の建物であること」「住宅ローンを利用していること」があげられます。

自宅を担保にして別の借金をしてしまった、住宅ローンの滞納分を保証会社が肩代わりして6カ月以上すぎてしまったという場合は、自宅を残すのはむずかしいでしょう。

車のローンについても、影響が気になるところです。

車のローンが残っている場合は、所有権があるかどうかで変わってきます。

購入時にクレジット会社を利用してローンを組むと、完済するまでの所有者はクレジット会社になります。

車を担保にしているため、ローンの返済ができなくなれば、車は引き上げられてしまいます。

一方、銀行や労働金庫のマイカーローンなどを利用している場合は、所有権は契約者本人にあることが多いようです。

担保になっておらず、車が時価で20万円以上であれば、最低弁済額にかかわる資産のなるため車を手元に残すことも可能です。

ただ、債務整理後に支払うべき「最低弁済額」に関係してくるので、残すか売却するかは専門家に相談するのがよいでしょう。

個人再生後にローンを考えている場合

「個人再生のデメリット」でも触れたとおり、個人再生をおこなうとブラックリストに登録され、完済から数年間は記録が消されることはありません。

そのため、しばらくはローンでの買い物ができなくなります。

車など高い買い物をする場合でも、現金一括購入するしかありません。

個人再生すると生活の変化、何が変わる?

個人再生で減らせる借金額

小規模個人再生の場合、どこまで減額できるかは、借金の額によって民事再生法で決められています。

借金が100万円未満の場合は、個人再生での減額はできません。

100万円から500万円以下の借金は、100万円に減額できます。

500万円から1,500万円以下は5分の1に、1,500万円から3,000万円は300万円に、3,000万円から5,000万円以下は10分の1というように、細かく定められています。

減額後の金額を「最低弁済額」といい、これは「これだけは必ず返しましょう」という意味を持ちます。

ただし、保有している財産の合計金額が最低弁済額よりも多い場合は、保有している財産の合計金額が最終弁済額となります。

ちょっとややこしいので、例をあげて説明しましょう。

500万円の借金と、住宅ローンが残っている自宅を持っている人が個人再生をおこなう場合です。

自宅は売りに出したとしたら1,200万円の価値があり、住宅ローンの残りが1,000万円あるとします。

この場合、保有している財産の金額は200万円です。

500万円の借金は個人再生で減額すると100万円になります。

その結果、最終弁済額は200万円となり、これを3年間で返済することになるのです。

一方、給与所得者等再生では、所得に応じて最終弁済額が変わってきます。

これは、収入から税金・社会保険料・最低限の生活費を差し引いた金額の2年分相当を返済するという決まりがあるためです。

分割返済が終わる時期

民事再生法では、返済期間は原則3年とされています。

ただし、特別の事情がある場合には、裁判所へ申し出て最長5年まで延ばしてもらうことも可能です。

「特別の事情」とは、子どもの教育費や家族の医療費・介護費などで返済がむずかしくなった場合があげられます。

クレジットカードは使えなくなる?

個人再生手続きが始まると、クレジットカードでの買い物やキャッシングは利用できなくなります。

手続き開始前の買い物やキャッシングも借金として債務整理の対象になるためです。

また、ブラックリストに登録されるので、手持ちのカードは利用できなくなります。

手続き中はもちろん最終弁済額の返済中、そして完済後も数年間は利用できません。

長期間使用しないカードは自動的に解約されるため、完済後に新しく申請して審査を受けることになります。

引越し(賃貸契約)にも影響がある?

ブラックリストにのると、新規のクレジットカードやローンの申し込みができなくなります。

そこで「アパートやマンションの賃貸契約もできないのでは」と心配に思う人もいるのではないでしょうか。

アパートやマンションの契約時に、個人再生が影響することはほとんどありません。

というのも、信用情報機関の情報を見ることができるのは、登録している金融機関に限られているためです。

不動産会社は信用情報を見ることができません。

ただし、家賃滞納のリスクを避ける方法として、クレジットカードでの契約を求められることがあるようです。

クレジットカードが利用できるかどうかで信用情報を判断するのです。

この場合は残念ですが、賃貸契約を結ぶのはむずかしいかもしれません。

携帯電話にも影響がある?

今まで使っていた携帯電話は、料金の滞納がなければ問題なく使用できます。

ただし、クレジットカードは利用できなくなるため、料金の支払いを「窓口」または「口座引き落とし」に変更しなくてはなりません。

個人再生手続きが始まる前に忘れずに変更しましょう。

また、機種変更や買い増しでは分割支払いができなくなり、現金一括購入になります。

家族にも影響がある?

借金の原因がギャンブルや浪費など、家族には知られたくないこともあるでしょう。

弁護士や司法書士に債務整理を依頼するとき「家族には内緒で」と伝えると、できるかぎりの配慮をしてもらえることが多いです

とはいえ、個人再生おこなうときは、世帯収入が判断材料になります。

夫や妻の収入を確認するために、勤め先に源泉徴収票をもらわなくてはならないこともあり、全く知られずに手続きを進めるのはむずかしいかもしれません。

また、債務者本人名義のクレジットカードに家族カードの契約をしている場合は、本人のカード停止にともなって家族カードも利用できなくなります。

そこから知られることもありますし、むしろ迷惑をかけることにもなりかねません。

できることなら家族に相談したうえで、個人再生で、はじめたほうがスムーズに進むのではないでしょうか。

個人再生の手続きの流れと手続きにかかる期間

個人再生をおこなうにはどうしたらよいのか、どのような流れですすむのか、具体的に説明します。

東京地方裁判所を例にしていますが、裁判所によっては少し異なることもあります。

個人再生の手続きの流れ

1.司法書士による個人再生の無料相談

債務整理を考えたときには、まず、司法書士や弁護士などに相談しましょう。

相談そのものは、ほとんどの事務所が無料で受け付けてくれます。

借金の状況について詳しく話し、最適な債務整理方法をアドバイスしてもらいましょう。

2.司法書士との委任契約

無料相談の結果、依頼したい司法書士や弁護士が見つかったら、委任契約を結びます。

このときに着手金を支払います。

債務整理には個人再生以外の方法もありますが、どれをとっても法律の専門的な知識が必要です。

また、専門家の介入によって、きびしい督促がストップするというメリットもあります。

そのため、費用がかかっても専門家に依頼するという人がほとんどです。

3.受任通知の送付・取引履歴の開示請求

委任契約を結んだその日に、債権者にあてて「受任通知(介入通知)」が送られます。

債権者に対して「専門家が介入します。取り立てなどの直接行為は止めてください。」と通知するわけです。

同時に債権者には、借金の内容や残高、取引履歴も開示するよう請求がおこなわれます。

4.債権調査・過払い金返還請求

債権者から開示・提出された資料をもとに、内容を詳しく調査します。

過去に利息を払いすぎている場合には過払い金返還請求がおこなわれます。

5.収支・家計全体の調査

借金の状況を調べる債権調査と同時に、債務者である依頼人の収入・支出も調べられます。

このときに、給与明細や源泉徴収票、確定申告書など、収入を証明する資料が必要です。

家計簿の提出を求められることもあります。

6.財産・資産の調査

次に、依頼人の財産や資産が調べられます。

資料として、通帳、保険証券、車検証、不動産登記簿謄本などが必要です。

7.個人再生の手続の選択

個人再生の手続きをおこなう場合、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらの方法で進めるかを決定します。

住宅資金特別条項制度を利用するかどうかも、この時点で決めることになります。

8.個人再生の申立書の作成

個人再生手続きを開始するために、裁判所の「再生手続開始決定」を出してもらうための書類を作成します。

この書類は「再生手続開始の申立書」というもので、手続き方法(小規模個人再生、給与所得者等再生)によって記入する項目が違ってきます。

記入漏れや誤りがあると審査が通らず、再生手続開始決定を出してもらうことができません。

また、債権者一覧表や債務者財産目録など、添付しなくてはならない資料もたくさんあるので注意が必要です。

9.個人再生の申立て

管轄の地方裁判所に「再生手続開始の申立書」と必要な資料を提出します。

このとき、申立ての手数料として1万円(2018年現在)を、収入印紙で納めます。

また、郵便切手代が必要です。

郵便切手代は裁判所によって、また債権者の数によって異なります。

10.個人再生委員の選任

申立てが受理されると、東京地方裁判所では「個人再生委員」が選任され、申立人(債務者)に連絡が届きます。

個人再生委員とは、個人再生手続きを監督・指導する立場の人です。

通常は、管轄の弁護士会に所属している弁護士から選ばれます。

東京地方裁判所では必ず個人再生委員が選任されますが、ほかの裁判所ではそうではありません。

代理人弁護士がいる場合には、個人再生委員が選任されないのが原則です。

代理人弁護士がいない場合は、全国どこの裁判所でも個人再生委員が選任されます。

代理人弁護士がいても、金額が大きい場合などは個人再生委員が選任されるケースもあります。

申立人(債務者)は、裁判所に提出したのと同じ申立書や資料の副本(コピー)を個人再生委員に送らなくてはなりません。

さらに、申立てから1週間以内に個人再生委員と面談・打ち合わせをおこないます。

このとき、委任契約を結んでいる代理人弁護士も同席します。

11.個人再生委員との打ち合わせ

個人再生委員との面談は、個人再生ができる条件を満たしているかどうかを確認するためにおこなわれます。

先に送った申立書と資料の内容の不明点や、収入・支出の状況を中心に質問されますが、正直に答えれば問題はありません。

12.履行可能性テスト(トレーニング期間)の開始

東京地方裁判所独自の運用ですが「履行可能性テスト」という6カ月間のトレーニングが開始されます。

これは、個人再生の認可・不認可の判断材料であり、申立人(債務者)にとっては、自分がきちんと返済できるか確認するためのトレーニングでもあるのです。

金額は、申立書に記載した月々の返済予定金額と同額です。

振込み先は、個人再生委員が指定した銀行預金口座になります。

注意しなくてはならないのは、第1回目の振込み時期です。

「9.個人再生の申立て」から1週間以内に振込みができないと、手続きが開始されません。

2回目以降は、個人再生委員の指示にしたがって、毎月1回ずつ振込みをおこないます。

このテストで振込むお金を「予納金」といい、テスト完了時には個人再生委員の報酬分を差し引いた分が申立人(債務者)に戻されます。

13.個人再生手続開始決定

個人再生委員との面談や履行可能性テストで問題ないと判断されると、裁判所から「個人再生手続開始決定」が出されます。

申立てから開始決定までにかかる期間は約4週間です。

14.債権届出・債権調査

次におこなわれるのは「債権調査」です。

開始決定後、裁判所から債権者にあてて「債権届出」を求める通知が出されます。

債権者は、氏名・住所・金額などを書き込んだ債権届出書などを、決められた期限までに裁判所に送らなくてはなりません。

申立てから債権調査が終わるまでの期間は約8週間です。

15.債権認否一覧表・報告書の提出

裁判所に送られた債権届出書は申立人(債務者)に転送されます。

申立人(債務者)は内容を確認し、その金額を認めるかどうかを「債権認否一覧表」に記入します。

このとき、納得できない内容があれば「意義の留保」という項目に必ずチェックを入れておきましょう。

また、申立て後に財産状況などに変更があった場合は「報告書」に記入して、決められた期限までに裁判所に提出します。

申立てから債権認否までの期間は約10週間です。

16.異議の申述・評価申立て

金額に納得できない場合、申立人(債務者)は「異議申述書」を提出します。

また、異議を出された債権者は、裁判所に対して「評価申立て」をおこなうことができます。

どちらも提出期限が決められているので注意が必要です。

このように意見の食い違いがある場合、最終的には裁判所が判断します。

申立てから異議申述期限まで約13週間、評価申立て期限まで約16週間です。

17.再生計画案の作成

借金の総額が確定したところで「再生計画案」を作成します。

ここには最低弁済額や返済期間などが記載されます。

18.再生計画案の提出

作成した再生計画案を裁判所と個人再生委員に提出します。

再生計画案は裁判所に決められた期限内に提出しなくてはなりません。

申立てから再生計画案提出までの期間は約18週間です。

19.再生計画案の決議等

各債権者より、再生計画案に同意または不同意の意思が裁判所に提出されます。

20.再生計画認可・不認可決定

「19.再生計画案の決議等」で集まった債権者の意思をもとに、認可・不認可の決定がなされます。

申立てから認可・不認可までの期間は約25週間です。

21.個人再生手続の終了・再生計画に基づく弁済の開始

認可された場合、再生計画書にしたがって弁済(借金の返済)を開始します。

小規模個人再生では、債権者の過半数の同意が得られない場合は不認可となってしまいます。

この場合は、ほかの債権整理方法を考える必要があります。

22.再生計画の遂行

再生計画書どおりに確実に返済をおこないましょう。

途中で滞ると再生計画が取り消されることもあります。

もし返済が苦しくなった場合は「再生計画変更の申立て」で返済期間を延ばしてもらうことも可能です。

再生計画が取り消される前に、司法書士や弁護士に相談してみましょう。

個人再生における必要書類などの準備

個人再生の手続きに必要な書類は「再生手続開始申立書」に始まり、陳述書、委任状、債権者一覧表、財産目録など数多くあります。

もしも書類に不備があると、再生手続が進まなかったり、自分に不利な条件になってしまったりすることもあります。

個人再生を成功させるためには、司法書士や弁護士など専門家の力を借りながら、ていねいに進めていくことが大切です。

個人再生の費用

個人再生の手続きをおこなうには、裁判手数料が必要です。

裁判手数料とは、収入印紙代や切手代、官報公告費などのことをいいます。

また、個人再生委員が選任された場合は、その報酬が必要です。

裁判手数料は裁判所によって異なります。

司法書士や弁護士に代理人を委託した場合は、裁判所にはらう手数料以外に着手金や成功報酬などの費用が必要です。

自宅を残す住宅ローン特則を利用する・しないで金額は異なります。

地域や内容によって幅はありますが、個人再生手続きにかかる費用の概算は50万円から75万円ほどが一般的です。

個人再生の手続きにおける注意点

個人再生で失敗再生計画が大切

個人再生は、申立てから認可されるまで約25週間、6カ月以上の日数を要する手続きです。

これだけの時間と手間をかけて再生計画が認可されないと、個人再生以外の債務整理方法でまた最初からやり直しになってしまいます。

債務整理を考えたときは、自分に合った確実な方法はどれかを見極めることが大切です。

保証人には事前に連絡しておくこと

借金が返せなくなったというのは、人によってはなかなか言いづらいことかもしれません。

しかし「個人再生のデメリット」でも触れたとおり、個人再生をおこなうと連帯保証人には必ず知られるところになります。

特に、連帯保証人には借金を肩代わりするという重い義務が発生してしまいます。

人間関係をこわさないためにも、連帯保証人 には事前に連絡をしておきましょう。

賃貸住宅の家賃や水道光熱費の滞納がないかを確認

個人再生では持ち家に住み続けることができますが、賃貸の場合はどうでしょうか。

また、家賃や水道光熱費を滞納していた場合はどうなるのでしょうか。

個人再生には「弁再禁止のルール」というものがあります。

裁判所で再生手続開始決定が出されると、認可がおりるまでの約5カ月間は、すべての借金の返済が禁止されるのです。

ただし、水道光熱費はこれに当てはまりません。

電気や水道が止まってしまうと生活に困るので、滞納分は少しずつでも支払っていきましょう。

家賃も水道光熱費と同じで、毎月支払って住み続けることは可能です。

しかし、再生手続開始決定前に家賃の滞納がある場合は、ちょっと面倒なことになります。

滞納していた家賃は借金として個人再生の整理対象になります。

整理対象になった家賃には「弁再禁止のルール」が適用され、支払うことが禁止されます。

契約どおりの家賃が支払えない場合、家主は立ち退きを要求することができるのです。

同じ物件に住み続けたい場合には、親や親せきなど、本人以外の誰かに滞納分を支払ってもらうという方法があります。

個人再生の手続きをするタイミングについて

借金の額や生活の状況は、人によって異なります。

個人再生の手続きをするタイミングは人によって違うものです。

お金を借りた当初は、必ず返せる程度の小さな金額だったのではないでしょうか。

しかし、賃金カットやリストラ、倒産、または病気で働けなくなるなど、思わぬ出来事で返済がむずかしくなることもあります。

返済のためにさらに借金を重ね、気づいたときには返しきれないほどの金額になってしまうことも珍しくはありません。

返済が苦しいと思ったら、まずは司法書士や弁護士に相談してみてはいかがでしょうか。

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