借金をすべて無くすことができる!?知っておきたい自己破産のこと

「借金の額が大きすぎて、どのようにすれば良いかわかない。」

「返済のめどが立たずに、途方に暮れている。」

このように、借金の返済が大変すぎて、お困りの方もいらっしゃると思います。

そのような場合、自己破産するという方法があります。

自己破産とは、裁判所に認められることで、すべての借金の返済義務を免れる債務整理の1つの方法です。

ただ自己破産にはデメリットも多く、まさに借金でどうしようもできない人の最終手段といえます。

借金の返済義務を免れるという大きなメリットがありますので、借金の返済が大変すぎる方は検討する必要があります。

この記事を読んで、デメリットもしっかりと理解して、自己破産をおこなうかを検討しましょう。

自己破産とは

自己破産とは、裁判所を通しておこなう債務整理のことです。

家計の収入や生活状況などを審査して、裁判所で「返済できる経済状況にない」と判断されれば、すべての借金が免除されます。

つまり、それまでの借金を払わなくていいということです。

もちろん、取り立てや督促もいっさいおこなわれません。

裁判所で免除決定がされると、債権者(消費者金融やカードローン会社、またはクレジットカード会社などの借入先)に対して「破産宣告」がされます。

「破産宣告」とは、わかりやすくいえば「破産の手続きを開始する」と告げることです。

破産宣告をされることで、債権者は「免責許可」がおりたことを理解します。

免責許可とは、借金のすべてを返さなくていいという許可のことです。

債務整理には、ほかにも「任意整理」「個人再生」「特定調停」があります。

この3つは、借金の額を減らしてもらい、そこから新たに返済計画を立てて返していく方法です。

一方、自己破産は借金が全額免除されるので、この違いは大きいといえるでしょう。

3つの債務整理のうち、「任意整理」は、裁判所を通す必要がありません。

債権者と交渉して、利息分を減らしてもらうやり方です。

「個人再生」は裁判所を通しておこないます。

借金を5分の1または100万円まで減らすことができます。

「特定調停」も裁判所を通すもので、裁判所が間に入り、返済計画を立てやすいように減額の交渉をしてくれます。

2種類ある自己破産

自己破産には、2種類あります。

1つは「同時廃止事件」で、もう1つは「管財事件(少額管財)」です。

自己破産が認められるかどうかは、収入以外にも借金の返済に充てられるような財産があるかどうかも決め手になります。

借金の返済に充てられるものとは、預貯金・自動車・住居・土地・株などです。

そのほかにも、貴金属など高額で売れるようなものがあれば、差し押さえとなるか返済のために売らなければなりません。

しかし、預貯金もない、売れるような財産もない場合は、裁判所への申立てと同時に自己破産が決定します。

それが「同時廃止事件」です。

一方「管財事件」は、隠し財産を持っているかどうかの調査が必要なケースです。

個人でも事業を行っている人や、お金の流れに疑念が持たれる場合は、管財事件になる可能性があります。

管財事件になると破産管財人が選ばれ、一定期間、収入や資産状況が調査されます。

そのうえで何もないことがわかれば、晴れて借金の免除が成立するのです。

管財事件にするかどうかは裁判所の判断なので、疑念を持たれないことが重要です。

また、管財事件では破産管財人に支払う「予納金」が必要になります。

管財事件にされて予納金すら用意できない場合は、自己破産がスムーズに進まないので注意が必要です。

ただし、管財事件の多くは自営業の人なので、 給与所得の人であれば管財事件になるケースは低いといえるでしょう。

自己破産のメリット・デメリット

自己破産するとできなくなること デメリット

自己破産の5つのデメリット

  1. ブラックリストにのる
  2. 持ち家などの財産が処分される
  3. 官報に名前がのる
  4. 手続きが終わるまで一定の職業につけなくなる
  5. 連帯保証人に借金が請求される

一定期間あらたな借入れができなくなる

一番のデメリットは、ブラックリストにのることです。

ブラックリストといっても、黒いリストが存在しているわけではありません。

クレジットカードやカードローンなど、何らかの借入があると、その情報は「信用情報機関」に登録されます。

借入額や返済状況などもすべて記録されており、会員企業の銀行や貸金業者などによって簡単に照会されます。

もちろん、滞納や延滞などの事故情報も記録されます。

この事故情報が登録されることを、一般に「ブラックリストにのる」といいます。

ブラックリストとは、ローンの審査などに通らなくなる情報が記録されていることと考えればいいでしょう。

ブラックリストのデメリットは、さまざまなローンやカードの利用ができなくなることです。

記録が残っている期間は、審査に通ることはほぼありません。

自己破産の場合は、10年間記録が残るといわれています。

持ち家などの財産が処分される

財産の差し押さえもデメリットです。

持ち家がある人は、住居・保険・貴金属・自動車などが差し押さえられるため、生活が不自由になることもあるでしょう。

特に、住居がなくなれば賃貸を探すしかありません。

自動車などは、査定額が極端に低い場合、または仕事に必要と判断される場合は対象外になる可能性があります。

また、生活必需品や99万円以下の現金については、当面の生活費として処分の対象外とすることができます。

自己破産になると、すべての預貯金や財産が必ず没収されるわけではありません。

住居が差し押さえになっても引っ越しは可能ですし、自動車の所有も認められる場合があります。

そのため、すべての現金や資産を失ってしまう前に、自己破産を考えたほうが賢明ともいえるでしょう。

官報に名前がのる

自己破産が成立すると、「官報」に掲載されます。

「官報」とは、日本政府が発行している機関紙で、法改正の報告や事件、裁判の結果など、法律にかかわる出来事が掲載されている新聞のようなものです。

裁判所の近くなどの官報販売所か図書館などに置かれていることが多く、一般の人が見ることはほとんどありません。

インターネット版もありますが、古いデータになると閲覧がむずかしくなるので、一定の期間を過ぎてしまうと人目に触れることはほとんどないと考えていいでしょう。

手続きが終わるまで一定の職業につけなくなる

免責決定を受けるまで、一定の職業に対して制限がかかります。

制限される職業のほとんどは士業で、弁護士や弁理士、公認会計士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、公認会計士、税理士、宅地建物取引士などです。

そのほかにも、警備員や保険会社など 一部就けない職業があります。

免責決定を受けるまでの期間は、通常、3〜6カ月程度です。

また、一般の職業であれば自己破産の申立てをしたことが勤務先に知らされるわけではないので、解雇される心配はありません。

ただし、退職金制度あれば証明書必要ですので、注意が必要です。

連帯保証人に借金が請求される

連帯保証人がいる場合は、連帯保証人に請求がいきます。

その場合、一括で返済するよう請求されますが、話し合いによって分割払いに応じてくれるケースもあります。

ただし、通常の分割払いで支払いできないようであれば、連帯保証人もいっしょに債務整理の手続きをとるしかありません。

クレジットカードやカードローンの場合は、担保や保証人が不要なものが多いので、連帯保証人に請求がいくケースはほとんどないといえます。

ただし、住宅ローンや車のローンは注意が必要です。

自己破産のメリット

自己破産の2つのメリット

  1. 借金を返済しなくてよくなる
  2. 給料差し押さえ等の強制執行がなされない

借金を返済しなくてよくなる

一番のメリットは、借金の返済を一切しなくてよくなることです。

失業で次の仕事が見つからない場合や、病気の治療などで収入の安定が見込めなくなったときは、返済がなくなるのは大きな安心につながります。

自己破産は弁護士を通して行うのが一般的ですが、弁護士を通したあとは督促が止まるのもメリットといえるでしょう。

すでに滞納している人は、自己破産の準備に入った段階で借金から解放されることになります。

給料差し押さえ等の強制執行がなされない

借金の返済ができないままにしておくと、債権者に裁判を起こされる場合があります。

そのうえ、裁判所の決定が下れば、給料の差し押さえなどの強制執行をされないとも限りません。

しかし、自己破産をすれば、裁判を起こされたり給料を差し押さえられたりする心配はなくなります。

自己破産しても、99万円以下の現金や20万円以下の預貯金など、裁判所で定める基準を超えない財産は手元に残すことができます。

保証人になっていない限り、家族に請求がいくこともありません。

そのため、家族がローンを組むときに悪影響が出ることがないのもメリットです。

自己破産できる条件 できないケースも確認

自己破産の条件

自己破産は、裁判所に申立てをすれば、誰でも無条件で認められるわけではありません。

破産宣告が認められるには、2つの条件があります。

1つは、収入状況です。

収入状況が悪化している、返済能力がないと判断されれば、条件の1つとして認められます。

もう1つは、借金の経緯です。

生活上やむを得ない事情で借りたものであれば、正当な理由として認められます。

ただし、ギャンブルやショッピング、株取引などに多額の借金を浪費した場合は認められない可能性もあります。

自己破産できないケース

つぎに、自己破産の申立てをしても、裁判所から免責許可が下りないことがあります。

どんなケースがあるのか、具体的に見ていきましょう。

自己破産できない9ケース

  1. 7年以内に借金の免責を受けていた
  2. 借金がギャンブルによるものがほとんどである
  3. クレジットカードで購入した商品を売却あるいは現金化した
  4. 免責申立人が財産を偽った
  5. 新たに借金をした
  6. 自己破産費用を借り入れた
  7. 自己破産手続き中に借金をした
  8. 返済能力がある
  9. 自己破産において家族や親族、友人からの借金を除外する

7年以内に借金の免責を受けていた

過去10年のうちに、借金の免責を受けていたケースです。

この場合は、個人再生など裁判所を通す債務整理はできないと考えていいでしょう。

借金をしても免責を受ければいいという悪い印象を持たれても仕方ありません。

借金がギャンブルによるものがほとんどである

自己破産をするうえで原則として認められないのが、借金の目的がギャンブルの場合です。

ただし、ギャンブル依存症というケースもあります。

本人や家族が治療を目的に生活をやり直すことを考えている場合は、認められるケースもあるかもしれません。

実際には裁判官の解釈にもよるので、どのような裁判官に当たるかで状況は変わります。

申立て自体をすることに制限はないので、自己破産をあきらめる必要はないでしょう。

クレジットカードで購入した商品を売却あるいは現金化した

クレジットカードのショッピングで多いのが、購入した商品を売却または現金化するケースです。

購入した商品をたまたま使わなくなって売却したというケースもありますが、明らかに現金に換えることが目的だと判断されれば、自己破産はむずかしいでしょう。

免責申立人が財産を偽った

自己破産の申請には、銀行の利用状況や預貯金・現金はもちろん、住居・自動車・貴金属・株券にいたるまで、換金できそうなものはすべて申請しなければなりません。

その中で返済に充てられそうなものがあれば差し押さえられ、自己破産が認められます。

しかし、申立てのときに記載せずに隠した財産がある場合や、実際とは異なる内容で申請した場合には、自己破産は認められません。

新たに借金をした

返済がむずかしいと感じた時点で新たに借金をした事実があると、裁判官の印象が悪くなる場合があります。

返済の滞納があるのに借金を増やしてしまうと、自己破産が認められない要因になります。

仮に審査が通るところがあっても、新たな借金はしないほうがいいでしょう。

自己破産費用を借り入れた

自己破産が管財事件になると、破産管財人に支払う予納金が必要です。

通常は20〜25万円ほどで、費用が用意できないといつまで経っても自己破産の審査が開始されず、免責を受けることができません。

そのため、家族や知人から予納金を借り入れる人もいます。

しかし、自己破産を決意したのにまとまった額を借り入れることは好ましいことではありません。

ケースバイケースではありますが、状況によって認められることもあるので、まずは依頼する司法書士や弁護士に相談してみましょう。

自己破産手続き中に借金をした

自己破産の申立て中に新たな借金をした場合は、自己破産が認められなくなるので注意が必要です。

自己破産の申立てをするということは、通常はその時点で返済が止まっていますから、ブラックリスト入りとして扱われます。

本来であれば審査が通らないので、新たにローンなどを組むことはできません。

しかし、知人やヤミ金など、信用情報機関の記録に関係のないところで借金をする人をたまに見かけます。

この場合は、残念ながら自己破産は認められなくなります。

返済能力がある

返済能力がある場合は、申立てをしても認められません。

自分に収入がない場合でも家族に十分な収入がある場合や、所有している住居や土地を売却すれば返済できる場合には、返済能力があるとみなされます。

自己破産において家族や親族、友人からの借金を除外する

借金は、銀行やカードローン、クレジットカードだけを指すわけではありません。

個人から借りたものも借金として自己破産の対象になります。

家族や親族、友人という理由で、意図的に債権者から除外するようなことをしてしまうと、免責が受けられなくなります。

また、金融機関であっても1社だけ除外することはできません。

自己破産しても税金は支払う義務がある

自己破産をしても、税金は支払う義務があります。

一括払いや何期かに分けて支払うのがむずかしい場合は、役所と話し合って無理のない金額での分割払いにしてもらいましょう。

多くの場合、役所は分割払いに応じてくれます。

市区町村によって対応は異なるので、居住地の役所に相談することが必要です。

その際、自己破産の事実をわざわざ話すことはありません。

支払いがむずかしいという事実だけを伝えて相談しましょう。

自己破産が影響を与える範囲

一番困るのは、すべてを失ってしまうことではないでしょうか。

しかし、実際には残せるもの、守られるものが多いので、必要以上に心配することはありません。

返済に回せるものは差し押さえられますが、住居など金額の大きなものがほとんどです。

財産をすべて失うわけではないので、誤解のないようにしましょう。

自己破産は、返済のすべてを免除されるものなので、自己破産後の収入や貯金を没収されることもありません。

また、公的制度の制限を受けることもないので安心してください。

引っ越しや旅行なども制限されないので 、生活の立て直しのために安い家賃の住居への引っ越しや仕事の事情による引っ越しも可能です。

ただし、手続き中に海外に行くことはできません。

また、官報には掲載されますが、官報以外のもの、たとえば戸籍や住民票などに記載されることはありません。

自己破産によって、選挙権を剥奪されることもありません。

自己破産で制限を受けるのは、あくまでもローンなど借入れに関することだけです。

信用情報機関に自己破産の記録は記載されますが、それも10年を経過すれば削除されます。

記録が消えてしまえば、再びローンの利用やクレジットカードの契約は可能です。

住宅ローンに与える影響

自己破産をすると、持ち家の場合は競売にかけられます。

競売にかかっても、買主があらわれるまでは住み続けることができます。

購入希望者が内覧したいときに応じることはあっても、そのまま生活を続けることは可能です。

ただし、買主が決まれば、指定された期日までに明け渡さなければなりません。

それまでに、新しい住居を探す必要があります。

期日に間に合うように引っ越すには、できるだけ早い段階から引っ越し先を探し始めておくほうがいいでしょう。

自動車ローンに与える影響

ローン支払い中の車は、ローン会社が所有者になっている場合がほとんどです。

そのため、車は原則ローン会社に引き上げられることになります。

たとえ、売却した場合の価値が下がっている場合であっても、ローンが完済していないと引き上げの対象です。

しかし、ローンが終わっていて、さらに走行距離が長いなどほとんど市場価値のないような車なら手放す必要はないかもしれません。

また、市場価値のある車の場合でも、仕事で必要なものであったり生活するうえでどうしても欠かせない事情があったりすると、免除されることもあります。

査定が20万円が基準となります。

自己破産した後のローン

ローンが組めるかどうかは、多くの人にとって気になるものです。

もちろん、破産直後はローンを組むことはできません。

信用情報機関には自己破産の事実が記載されていますし、ローンの申請をしても審査に通ることはないでしょう。

しかし、信用情報機関に記載されるのは一定の期間だけです。

自己破産の場合は、10年経過すればほとんどのケースで記録が削除されます。

信用情報機関の記録が削除されているかどうかは、自分で確認できます。

10年経過した時点で、信用情報機関に開示請求をしてみましょう。

クレジットカードに与える影響

今まで使っていたクレジットカードは自己破産の対象になっているので、強制解約になるのが一般的です。

自分でハサミを入れるなどして処分しましょう。

携帯電話に与える影響

携帯電話は、破産前から持ち続けていれば、特に問題なく使うことができます。

携帯電話会社に破産の事実を通達されることもありません。

ただし、機種変更の場合は、信用情報をもとに審査されるので分割での購入ができません。

一括での購入なら可能です。

また、滞納で強制解約になっている場合は、同じ携帯会社を新規で利用するのはむずかしいと考えたほうがいいでしょう。

職場に与える影響

会社からの借入れがない限り、会社に知られる可能性は低いといえます。

多くの場合、自分から言わなければわかることはないでしょう。

ただし、必要書類として退職金額の証明書が必要となることがあります。

会社に破産の事実を伝えずに証明書を入手することがむずかしい場合があるため、知られてしまう可能性が出てきます。

また、労働法上、自己破産したことを理由に社員を解雇することはできません。

家族に与える影響

家族に知られずにおこなうことは不可能ではありません。

しかし、同居している家族の収入を証明する書面などを裁判所に提出する必要があるので、家族に内緒でおこなうのはむずかしいでしょう。

収入証明のほかに、家族の通帳のコピーを求められることもあります。

自己破産は、借金をなくして生活の再建をすることが目的です。

今後の生活の再生にあたり、家族の協力は不可欠なので、なるべく正直に現状を話したほうがいいでしょう。

生命保険や学資保険などに与える影響

生命保険や学資保険は、自己破産によってどのような影響があるのか見ていきましょう。

生命保険を解約すると、解約返戻金が返金される場合があります。

解約返戻金の額が一定の金額を超える場合は、裁判所から保険を解約して解約返戻金を返済に充当するように指示される場合があります。

そのときは、解約に応じるしかありません。

これは、個人年金などにも該当してきます。

ただし、掛け捨てタイプの保険の場合や、契約してからの期間が短く解約返戻金がほとんどない場合は、解約する必要はありません。

自己破産すると、仕事や家はどうなるのか

自己破産を申請中の間

申請している間は、同時廃止事件か管財事件かで異なります。

同時廃止事件であれば、申立てと同時に自己破産が決定するので、特に制限されることはありません。

しかし、管財事件の場合は、所有資産の処分や転居・旅行の制限など、生活上の制限が出てきます。

債権債務の調査のため、本人宛の郵便物が破産管財人に配達されるなどの制限もあります。

郵便物の内容を確認してから本人に渡るのが一般的な流れです。

また、長期にわたって住居を離れる際には裁判所の許可が必要になります。

これは、破産者の逃走や財産隠匿行為を防止するためです。

ただし、一時的な外出は問題なくできます。

管財事件の場合、調査される期間は短い人で3カ月程度なので、不自由を感じることが多いかもしれません。

自己破産後の仕事や住居

自己破産後の仕事や住居には、どのような影響があるのでしょうか。

在職中の場合、離職中の場合、持ち家の場合、賃貸の場合について見ていきましょう。

在職中の場合

在職中の場合は、影響が出ることは特にありません。

自分で話さない限り、職場に伝えられることはないので心配は不要でしょう。

また、士業に就いている人も、免責になるかどうかの決定が出るまでは制限されるものの、自己破産後は仕事に復帰できます。

離職中の場合

新たに就職を考えるときは、仕事によって制限される場合もあります。

たとえば、消費者金融やクレジットカード会社など、金融機関への就職はむずかしいと考えたほうがいいかもしれません。

金融機関は、借金自体抱えていると採用されないことが多い傾向にあります。

これは、家族に対しても同じ条件を設けている会社が多く見られます。

ただし、それ以外の一般的な仕事であれば、特に制限される心配はありません。

持ち家の場合

持ち家の場合は競売の対象になるので、手放すことになります。

住居は、ローンが完済している場合であっても、ほとんど競売の対象と考えていいでしょう。

仮に建物が古くても、更地にして土地だけ売買することも可能です。

賃貸の場合

賃貸の場合は問題なく住むことができますが、契約状況に応じて異なります。

保証人を必要としない契約の場合、クレジットカードを持っているかどうかで判断されるケースは少なくありません。

つまり、信用情報が審査対象になる場合です。

クレジットカードを持っていなければ、更新されないことも出てくるかもしれません。

これは、大家の意向次第で変わってきます。

ただし、家族名義で借りている物件は特に影響はないでしょう。

自己破産後も支払わなければならない債務

自己破産後も支払わなければならない債務はあります。

どのようなものがあるか、見ていきましょう。

税金

税金は、支払う義務があります。

納税額によって支払いがむずかしい場合には、分納も可能です。

役所で支払いの相談をしてみましょう。

罰金、過料、追徴金、刑事訴訟費用

自動車を運転中の罰金や何らかの違法行為による過料、追徴金や刑事訴訟などがあった場合の費用などは、自己破産後も支払う義務があります。

不法行為に基づく損害賠償請求権

不法行為をおこない、損害賠償を請求された場合も支払う義務が生じます。

自己破産とはまったく関係のないことなので、まぬがれることはできません。

逆に、不法行為をおこなわれた場合は、損害賠償を請求できます。

婚姻費用、離婚時の養育費

婚姻にかかる生活費などの費用や、離婚の養育費なども当然支払わなければならないものです。

なかには、自己破産が原因で離婚する人もいるでしょう。

その場合も、養育費は支払う義務があります。

離婚の際に決定した方法で、きちんと支払いましょう。

また、自己破産を理由に養育費の支払いがとだえた場合は請求できます。

従業員の給料など労働債権の請求権

従業員の給料などは、雇用主として支払う義務があります。

自己破産になると、実際問題として支払うのがむずかしい場合がほとんどでしょう。

しかし、支払いをしないと労働法に違反し、書類送検されることもあります。

むずかしい場合でも、従業員に説明するなど誠意ある対応が必要です。

自己破産で差し押さえになる範囲

差し押さえの対象にならないもの

差し押さえになる範囲とならない範囲について知っておくと、どんなものが返済に充てられるのか判断できます。

まずは、差し押さえの対象にならないものです。

99万円以下の現金と20万円以内の預金

100万円を超えない現金、つまり99万円までの現金は持っていいことになっています。

20万円以内の預金も同じです。

これは、当面の生活費として免除されます。

自己破産は、失業など安定収入を失ってから検討する人も多く、現金をすべて没収してしまうと生活に支障が出てしまうからです。

生活必需品

生活必需品に関しては、基本的に差し押さえの対象になりませんが、冷蔵庫・エアコン・電子レンジ・パソコンなどの家電品は、一点だけ差し押さえの対象になります。

ただし、仕事に必要なものは差し押さえされません。

たとえば、パソコンがそれに当たります。

売却したら高値がつきそうなものであっても、それがないと仕事ができないのであれば、生活の立て直しができません。

そのため、差し押さえの対象からは外されるのです。

差押禁止債権

差押禁止債券とは、給料・退職金・ボーナス・年金などが含まれます。

生活するうえで重要な債権として、4分の3に相当する額の差し押さえはできません。

差し押さえの対象となりうるもの

つぎに、差し押さえの対象になるものはどんなものか見ていきましょう。

家電

家電は生活に必要なものですが、パソコン・冷蔵庫・テレビ・洗濯機・掃除機・ラジオ・ビデオなどは、一点のみ対象になります。

パソコンは仕事で使う人が多いため、業務に支障があれば差し押さえはされません。

また、どの家電品の場合も古すぎて価値がつかないものは対象にならない場合があります。

保険(解約返戻金など)

保険は、解約することで返戻金が期待できるため、差し押さえの対象です。

ただし、掛け捨てタイプの保険や加入して間もない保険などは、あまり返戻金が見込めないので対象にならないことが多いです。

免除されれば、そのまま加入していて問題はありません。

自動車

自動車も差し押さえ対象です。

そもそも、マイカーローンの返済がまだ終わっていない場合は、ローン会社の名義になっていることが多く、そのまま回収されることになります。

また、ローンが終わっている場合は、返済に充てられる財産としてみなされます。

ただし、売却価値のない自動車は除外されます。

給料・退職金

給料や退職金は「差押禁止債権」に含まれます。

ただし、4分の3を超える部分は、差し押さえの対象になる可能性が出てきます。

貴金属やブランド品、美術品

貴金属やブランド品も、どれくらいで売却できるかで判断が変わります。

美術品にはさまざまなものが該当するので、絵画や版画などに限りません。

しかし、本人が作成したもので世に出していないものや、家族の勲章など名誉をたたえる目的で授与された記念品などは対象から外されます。

仏壇なども差し押さえに含まれません。

自己破産の手続きの流れとスケジュール

ここからは、自己破産の具体的なスケジュールとかかる期間の目安についてまとめます。

少額管財事件と同時廃止事件に分けて見ていきましょう。

少額管財(20万円以上の財産がある場合)

1.自己破産の無料相談

まず、司法書士や弁護士に無料相談をします。

ホームページなどで無料相談をおこなっている事務所を探してみましょう。

国の機関で定期的に開催している無料相談会を受けるのもよい方法です。

2.委任契約の締結

弁護士に破産手続きの委託をするために、契約書を締結します。

契約を締結すると、弁護士は正式な代理人になるので督促を受けることはなくなります。

債権者とのやりとりは、すべて弁護士に任せることになります。

3.受任通知の送付・取引履歴の開示請求

債権者に向けて、弁護士が代理人になったことを通知します。

同時に、弁護士は今までの取引履歴の開示請求をおこないます。

4.債権調査・過払い金返還請求

実際の債務がどれくらいあるかを調べます。

また、過払い金がある場合は、過払い金請求をします。

5.資産・家計状況の調査

債務者の資産状況や家計状況の調査をおこないます。

収入証明や銀行通帳のコピー提出、家計簿の提出などが求められます。

返済能力がないか、浪費はないかをチェックするためです。

6.免責に関する調査

免責に向けて妥当かどうかを調査します。

7.自己破産の手続の選択

自己破産の手続きを選択すべきか、あるいは他の債務整理を選択すべきか、もう一度確認します。

8.自己破産の申立書の作成

裁判所に提出する申立書の作成をおこないます。

弁護士が作成するので、債務者は任せていれば問題はありません。

9.自己破産の申立て(即日面接)

自己破産の申立てをおこないます。

即日面接とは、担当裁判官と申立代理人弁護士が面接することです。

10.破産者の審尋

破産者が裁判官の聴取を受けることをいいます。

裁判官は、なぜ借金をすることになったか、実際に返済が困難なのかを主に質問します。

また、破産者は誠実性を見られるので、話す内容を事前にまとめ、申立ての内容と相違のないように準備しておきましょう。

11.破産手続開始決定・破産管財人の選任

破産手続きの開始が決定され、破産管財人が選任されます。

12.破産管財人との打ち合わせ日の調整

破産管財人との打ち合わせ日の調整がおこなわれます。

13.引継予納金の納付

破産管財人に予納金を納付します。

一括での支払いが原則なので、用意しておきましょう。

ただし、月額5万円の分割払いが認められる場合もあります。

14.破産管財人との打ち合わせ・面接

破産管財人との面接と打ち合わせをおこないます。

15.破産管財人による管財業務の遂行

破産管財人が、資産の調査を始めます。

期間は、3〜6カ月が一般的です。

16.債権者集会・免責審尋

債権者が集められます。

免責に向けての審尋がおこなわれます。

17.免責許可・不許可決定

免責許可、または不許可の決定がなされます。

18.配当期日

破産管財人によって返済に充てられる資産が換金され、それを債権者に割り当てます。

同時廃止(20万円以上の財産がない場合)

1.自己破産の無料相談

弁護士事務所や国の機関の無料相談会を受けます。

2.委任契約の締結

弁護士事務所と委任契約を結びます。

3.受任通知の送付・取引履歴の開示請求

弁護士が債務者の代理人になったことを債権者に通知し、取引履歴の開示請求をします。

4.債権調査・過払い金返還請求

利息を含めた債権の全額を調査し、過払い金があれば請求します。

5.資産・家計状況の調査

資産一覧表と収入証明、家計簿などを提出させて、家計状況を調査します。

6.免責に関する調査

免責すべきかどうかの調査がなされます。

7.自己破産の手続の選択

自己破産の手続きをすべきか、または他の債務整理をすべきか、もう一度確認します。

8.自己破産の申立書の作成

弁護士によって、自己破産の申立書が作成されます。

9.自己破産の申立て(即日面接)

裁判官と弁護士が面接し、自己破産の申立てを正式におこないます。

10.破産者の審尋

裁判官による破産者への事情聴取がおこなわれます。

11.破産手続開始決定・同時廃止決定

破産手続き開始と同時に破産が決定します。

12.免責審尋

裁判官と破産者が面接をおこないます。

13.免責許可・不許可決定

免責許可または不許可の決定がなされます。

自己破産における必要書類など

自己破産には、申立書・陳述書・住民票・戸籍謄本・収入がわかる資料・預金通帳のコピー・資産関係がわかる資料などの書類が求められます。

申立書は弁護士が作成しますので、債務者は不明な点があればその都度協力することが必要です。

資産関係がわかる資料には、売却した場合の相場を記入することもあります。

預金通帳は、弁護士事務所に一旦預けてコピーしてもらうのが一般的です。

自己破産の費用相場

自己破産の費用相場は、司法書士・弁護士事務所によって異なります。

無料相談を受けたあと、委任契約を締結する際、着手金を払うのが一般的で、20~50万円 前後が多く見られます。

ただし、過払い金請求や任意整理などの場合であれば成功報酬が必要ですが、自己破産の場合は、債権者と交渉して減額したり請求して返してもらったりするものがないので、成功報酬は発生しません。

そのため、弁護士費用としては、20~50万円前後と考えていいでしょう。

そのほか、郵送料金などは実費でかかります。

また、管財事件になれば、予納金として20万円が必要です。

裁判所によっては、25万円必要な場合もあります。

自己破産するべきタイミング

債務整理は、勇気が必要かもしれません。

しかし、迷っているうちに返済が滞ってしまったり借金が膨らんでしまったりしたら、そのほうが問題です。

場合によっては、申立てをしても自己破産できないケースもあります。

そんな場合でも、借金の金額が少ないのであれば、任意整理に切り替えて返済することはむずかしくないでしょう。

また、裁判官や弁護士によっては、同時廃止事件のはずが途中から管財事件に変更になることもあります。

そうなると、期間が長引くことになりますし、費用が余計にかかります。

いろいろなことを考えて、早めのタイミングで決断することが望まれます。

金額にすると100万円を超えた場合や、借金が2社を超えた時点で債務整理を考えるべきです。

返済が負担に感じたら、債務整理すべきかどうか司法書士や弁護士などのプロに相談をしてみましょう。

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