債務整理で借金はいくら減るのか
「借金はどれくらい減らせますか?」
「債務整理をしたいのですがどれくらい減りますか?」
と、みどり法務事務所では多くのご相談をいただきます。
債務整理には、主に過払い金請求、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停と5つの種類があります。それぞれの債務整理は減額できる額や方法が大きく異なっているので、自分に合った手続きを選ぶことで借金の減り幅が大きくなります。
しかし、債務整理の仕組みや手続きの方法は複雑で、自分で最適な債務整理を選ぶのはむずかしいので、債務整理について正しく理解していなければ、借金をより多く減額することはできません。
もし、借金をいくら減らせるのか気になる、自分に合った債務整理はどれなのか気になるという方は、みどり法務事務所で、債務整理に関するご相談をすべて無料で承っていますので、ご相談ください。
また、無料のお電話かメールフォームから「どこの貸金業者(またはクレジットカード会社)から・いつ頃・いくら借りていたか」をお話しいただければ、相談者様がより借金を減額できる債務整理をご提案させていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
もくじ
1.債務整理の種類
借金をしている人の状況は千差万別です。特定の金融機関から少額の借金をしているだけの人もいれば、複数の貸金業者から多額の借金をしているという人もいます。
ただ、少額でも多額でも、返済に困っているなら債務整理をおこなう意義は大きいといえます。
債務整理とは、借金を減らしたりなくしたりする手段のことです。成功すれば借金を大幅に減らすこともできます。
債務整理には、主に4つの手続きがあります。
貸金業者と直接交渉することによって月々の返済をラクにする「任意整理」「特定調停」、裁判所の仲裁を得て借金を減額してもらう「個人再生」、そして裁判官の認可を得て借金を帳消しにしてしまう「自己破産」です。
どの債務整理を選択するかは、主に借金の額によって変わってくるといえます。
どの手段を選択するかによって、減らせる借金の額やデメリット・メリットも大きく変わってくるため、債務整理をすれば借金がいくら減るのか一概に断定することはできません。
債務整理のデメリットとメリットについてくわしく確認
2.任意整理は「過払い金」があれば大幅な減額もあり
債務整理の中でも、任意整理は最も手軽かつ身近な手法であるといえます。
主に交渉によって借金問題の解決を目指す任意整理では、あくまで貸金業者と債務者という個人間でのやり取りが中心となります。
裁判という公的機関の力を借りないため、問題を大きくせずに解決へ導ける方法です。
もちろん、実際の交渉は弁護士や司法書士を代理人に立てておこなうのが一般的です。任意整理で借金がいくら減るかは、過払い金の有無によって変わります。
返済期間が長かったり、返済を滞納していたりすると、その分だけ利息は大きく膨らんでしまいます。
また、滞納している期間が長い場合、その間の遅延損害金もかなりの金額になっていることが予想されます。
任意整理では、こうした利息や遅延損害金をカットしてもらう交渉をします。お金を貸している人の立場からすると、最も都合が悪いのは元金まで踏み倒されてしまうことです。
そのため、「少なくとも元金だけは返してもらいたい」というのが貸金業者の本音です。
利息や遅延損害金が膨らみ過ぎてしまうと利息ばかり払っていて一向に元金が減らない状況に陥りがちです。
任意整理はこうした利息や遅延損害金に焦点を絞り、将来に発生する利息をカットしたり、膨らんだ遅延損害金を免除してもらったりして、債務者が3~5年程度で借金を完済できるように取り計らうという手法です。
任意整理では基本的に借金の元金自体を減らすことはできません。
ただし、過払い金が発生していれば借金を減らすことができます。
2-1.「過払い金」とは
過払い金とは、払い過ぎた利息のことをいいます。過去に貸金業者はグレーゾーン金利を利用して不当に高い利息でお金を貸していました。
過去に借金をしていた人の中には、こうした不当な金利によって、払う必要のない利息を払っていたという可能性があります。
その場合、過払い金返還請求をすれば、過去に払い過ぎた利息を返してもらうことができます。
過払い金返還請求は、任意整理の一環としておこなわれるのが一般的です。
任意整理で貸金業者に交渉する過程において、過払い金が発生しているかどうかも調べることになります。
そのとき、過払い金を確認できれば、任意整理で減らせる借金の額はより大きくなります。
状況によっては、借金がなくなって手元にお金が戻ってくるケースもあります。過払い金があるかどうかは、任意整理で大幅に借金を減らせるかどうかのひとつの指標だといえます。
過払い金が発生する条件についてくわしく
3.【任意整理の最大のメリット】将来利息の免除で総支払額が減る
過払い金がなければ、任意整理で減らせる借金も限定的なのかというと、決してそういうわけではありません。
任意整理の最大のメリットは、将来利息を免除することで総支払額を大きく減額できるという点にあります。
任意整理の手続きに入ると、代理人となった弁護士や司法書士が貸金業者に受任通知というものを送付します。
この送付をもって、貸金業者は借金の督促ができなくなります。受任通知の送付から、実際に和解が成立するまで、だいたい3~6か月くらいは見積もっておかなければなりません。
実はこの期間にも、利息というのは発生しています。この間の利息のことを経過利息といいます。
一方、将来利息とは、交渉によって貸金業者との和解が成立してから、実際に借金を完済するまでに支払うことになっていた利息のことです。
もちろん、どこまで交渉に応じてくれるかは貸金業者によって異なります。将来利息のカットには応じても、経過利息には応じないという貸金業者もいます。
任意整理で目指すのは経過利息と将来利息のどちらもカットすることです。いずれの利息も免除となれば、利息の総支払額をおおきく減らすことができます。
たとえば、200万円の借金をしていて、利率が年利で15%の場合、借金の元本に加えて、年間で30万円ちかくもの利息を払い続けなければなりません。
1カ月で2万5千円もの利息はとても大きい負担です。任意整理で経過利息や将来利息がカットできれば、こうした月々の負担を大幅に減らすことができます。
もちろん、貸金業者もそう簡単に利息のカットに応じてくれるわけではありません。しかし、任意整理の目的は、債務者が無理なく返済できるように交渉することにあります。
利息に首が回らなくなり、個人再生や自己破産などの手段に訴えられてしまうことは、貸金業者にとってもマイナスです。
そのため、貸金業者は任意整理の交渉に応じて、利息の全額免除に合意してくれるのです。
4.【任意整理の第2のメリット】返済期間の延長
任意整理で将来利息を免除できても、元金は残るため借金自体がなくなるわけではありません。本当に返済に困っている場合、元金だけの返済ですらままならない場合もあるでしょう。
任意整理では将来利息の免除だけでなく、返済期間の延長も交渉によって実現することができます。また、返済を長く滞納している場合、一括での返済を求められていることもあるでしょう。
その場合も、任意整理で合意にいたれば、分割での返済ができるようになります。
任意整理で返済期間を延長した場合、その期間はだいたい3~5年になります。交渉によっては、5年以上の返済期間に応じてくれる貸金業者もいます。
もちろん、返済期間が3年でも5年でも、返済する借金の総額に変わりはありません。しかし、返済期間が長くなるほど、月々の返済の負担は軽減することができます。
現状で借金の返済に苦しんでいる人は、月々の重い負担に追い詰められていることが多いものです。
返済期間を延長することは、生活を圧迫している部分を縮小することができ、大きな負担から解放されるきっかけにもなってくれます。
ただし、返済期間が長ければ良いというわけではありません。返済期間が長くなるということは、借金問題から完全に解放されるまでの期間も延びてしまうということです。
短い年数で返していける余力があるなら、返済期間もなるべく短くすることが大切です。
4-1.任意整理をした場合のシミュレーション
実際に任意整理をした場合、借金の減額幅や返済期間の変更は個別のケースによって変わってきます。
たとえば、200万円の借金をしている場合、任意整理をした場合としなかった場合でどれだけ変わってくるのか見てみましょう。
金利は年率で15%、返済方法は元利均等リボ払いで、月々の返済額は5万円であったとします。
この場合、返済期間は4年8カ月となり、利息を含めた借金の総支払額は2,789,900円にもなってしまいます。
つまり、月々5万円の負担が4年8カ月も続く上、利息だけで789,900円も支払わなければならないということです。
一方、任意整理をすれば、まず利息の789,900円をカットすることができます。
また、返済期間も5年に延長することができれば、支払いは元金の200万円のみとなるため、月々の返済額は33,000円だけになります。
このように、任意整理は将来利息をカットし毎月の返済がラクになるという大きなメリットがあります。
5.司法書士・弁護士の交渉力でいくら減るかが変わる
任意整理は貸金業者と直接交渉することで借金の減額を目指すものです。その際は、司法書士や弁護士に交渉を代行してもらうことになります。
債務者本人が貸金業者に直接かけあうこともできないわけではありませんが、司法書士や弁護士など、きちんとした資格を有したものでなければ、貸金業者に取り合ってもらうのはむずかしいのが現状です。
交渉という意味以外でも、司法書士や弁護士などの専門家に債務整理を相談する意義は大きいといえます。
なぜなら、専門家が債務整理の手続きをしている間は、貸金業者は借金の督促ができなくなるからです。
少なくとも、債務整理の期間は借金の悩みから解放されるため、やはり専門家の力を借りて交渉を代行してもらうのが最も良い手段といえます。
ただし、依頼する司法書士や弁護士の選定には十分に気を付けなければなりません。
交渉次第で毎月の返済額や返済期間が決まる任意整理では、司法書士や弁護士の交渉能力によって成果が大きく変わってくることもあります。
より大きい成果を得るためにも、借金問題に長けた司法書士・弁護士をじっくり見極めることが大切です。
借金問題や過払い金返還請求の実績なども参考にしながら、自分にとって最適な選択ができるようにしましょう。
6.任意整理をしても借金がほぼ減らないケース
任意整理は金利の高い借金に最適な債務整理の手段です。
そのため、そもそも金利の低い借金の場合、任意整理をおこなう意義は小さくなってしまいます。
消費者金融から借金をしている場合、金利も高いことが多いため任意整理で減額できる総支払額も大きくなる傾向にあります。
一方、もともと金利の低いところから借金をしている場合、任意整理をしてもあまりメリットはありません。
たとえば、奨学金や教育ローンなどはその代表です。奨学金や教育ローンのほとんどは、金利がかなり低く返済期間も長めです。
奨学金の場合は、金利が1%前後であることも珍しくなく、しかも返済期間が10年や20年ということも良くあります。
これだけ利息が小さいと、任意整理してもあまり借金は減らせません。返済期間ももともと長いため、任意整理で何らかの利益を得られにくいといえます。
また、母子福祉基金や生活福祉基金、日本政策金融公庫の事業資金なども同様です。
こうした公的機関による融資も、金利がそもそも低く設定されているため、任意整理してもあまり意味がありません。
公務員が利用できる共済組合も、もともと金利が低く任意整理しても借金はほぼ減らないでしょう。
しかも、共済組合からの借金を任意整理すれば、職場に債務整理をしたことが露見してしまうこともあるので注意が必要です。
労働組合や生協などによって作られている労働金庫(ろうきん)からの借金も、任意整理すれば同じように職場に知られてしまう恐れがあります。
その上、金利が低く減額幅も小さいため、やはり任意整理をする意義は小さいです。
住宅ローンや自動車ローンに関しては、むしろ任意整理することで大きなリスクを背負うことにもなりかねません。
ローンで購入した住宅や自動車は、ローン貸付をしている金融機関によって担保に入れられています。
そんな中で、任意整理をしてしまうと担保にされていた住宅や自動車が金融機関によって差押さえられてしまうことがあります。
住宅ローンや自動車ローンは、任意整理ができないわけではありませんが、こうしたリスクもあるので注意が必要です。
ほかにも、連帯保証人で背負った借金、未払いの養育費や財産分与、交通事故などの損害賠償金や裁判や調停ですでに和解済みの借金なども任意整理には不向きです。
連帯保証人で背負った借金は、そもそも債務者本人が投げ出した借金ということになります。借金が大きく膨れ上がっていることも多く、任意整理では対応しきれないことが多い傾向です。
未払いの養育費や財産分与には、もともと利息という項目の支払いはないため、任意整理で交渉しようとしても意味がありません。
交通事故などの損害賠償に関しても、任意整理をする意義はないといえます。
また、裁判などで和解している借金を、さらに返済できなくなった場合は、もはや任意整理では交渉できないため、自己破産などを選択するしかないでしょう。
7.任意整理だと解決がむずかしい場合は
任意整理では解決がむずかしい場合、残された選択は個人再生や自己破産となります。
当事者間での交渉で解決を目指す任意整理と違って、個人再生や自己破産では裁判所の仲裁を得て和解を目指すという方法です。
個人再生や自己破産を選択した場合、減らせる借金の額は任意整理よりも大きくなります。
7-1.個人再生の場合、借金はいくら減るのか
将来利息や遅延損害金の免除を目指す任意整理とは異なり、個人再生は元本そのものを減額することができる手段です。
ただし、個人再生手続きで借金を減らすためには、そもそも100万円以上の借入をしていなければなりません。
100万円以上の借入をしていれば、個人再生をすることで借金を5分の1程度減らすことができます。
たとえば、借金額が100万円以上500万円未満であった場合、個人再生手続きをおこなうことで借金の総額は100万円になります。
すなわち、総借金額が400万円であった場合、個人再生すれば借金を300万円も減額できるということです。
個人再生では借金の総額が大きくなるほど減額できる幅も増大します。
借金額が500万円以上1500万円未満であれば、借金は5分の1に、1500万円以上3000万円未満なら、借金は300万円に減額されます。
3000万円以上5000万円未満の場合は10分の1となっており、4000万円の借金をしていれば400万円にまで減らすことが可能です。
しかも、個人再生は借金を減らせるだけでなく、減額された借金を原則3年、最長5年という計画で返済していくことができます。
少なくなった借金をさらに分割して返済していけるので、返済の負担を大幅に減らすことができるのです。
7-2.自己破産の場合は
自己破産の場合、借金を帳消しにできます。借金をすべてなくせるということです。1000万円でも1億円でも、自己破産が認められれば借金は一気に0円になります。
ただし、自己破産するためには、裁判所から「免責」という処分を受けなければなりません。免責を受けるためには、破産法に基づく複数の項目にいずれも該当しないことが条件になります。
たとえば、破産法第252条1項4号には、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと」とあります。
これはつまり、お金の無駄づかいやギャンブル、またはそれに近い行為で作ってしまった借金は自己破産の対象にはならないということを意味します。
ほかにもいくつか項目があり、裁判所に認められてはじめて自己破産できるようになります。
自己破産は借金問題解決のための最終手段です。自己破産は借金を帳消しにでき、返済の苦悩からもすぐに解放されます。
債務整理には任意整理、個人再生、自己破産と大きくわけて3つの種類がありますが、どの手続きが向いているかどうかは個人では判断しにくいものです。
返済に行き詰って自己破産しかないと思っていた方も、実際に司法書士にご相談いただいたら任意整理で解決できたというケースも多々あります。
借金がいくら減るのか、債務整理した後の返済額や返済期間はどうなるのかは人それぞれの状況によって異なるので、具体的なシミュレーションはご相談ください。
みどり法務事務所では借金問題に関するご相談は何度でも無料です。お気軽に通話料無料のフリーダイヤルかメールフォームからお問い合わせください。